60代男性。七年前に病気で車椅子。高齢の母は寝たきり。娘は精神障害を患っていて、男性の妻は三人の介護を一人で、しかも就労しながらこなしている。そんな妻は冬に腕を骨折…。
妻の代わりに短期間行政から介護サポートなど受け取る。
おれの新職場は、障がいを持つ人への「生活サポート」だ。
初訪問のケース。
一口に障がいといっても、身体、精神、知的と幅広く、年齢や生活能力、家庭環境によっても、その人の必要とするサポートは千差万別だ。それらを勘案し、本人と業者とも相談しサポートのプランを立てる。そして給付の事務と支払いの審査までやる。
一連の流れを個人との出会いからから支払いまで、すべてをやる。
通常はそういったプランナーはケースワーカーと呼ばれる福祉専門職である。
一般にケースワーカーは調査して立案して、行政職に渡すまでが仕事。
だけど、俺たちは全部やる。
一人がすべて事務をやるのは全市でもウチのこの部署だけのようだ。大変煩雑だが、同僚は多数いる受給者の顔や家庭環境にいたるまで、おおよそ熟知している。これは驚きだ。
支払い業務をする相手の顔が分かるというのも、こういった行政の職場としては、珍しい。ある意味、血が通った事務と言える。
今週は、更生施設にも訪問予定。対象者の日常生活の状態を面談で聞き取り、受給資格の更新をする。
久しぶりに名刺が大量に必要な部署だ。